社長インタビュー

社長インタビュー

interview-Part 1

2020年、小学校にマスク寄付

ここまで積み重ねてきた会社の歴史を教えてください。

株式会社ヤスイは、地域密着企業として70年以上の歴史があります。私の祖父が創業した「安井商店」は、当初シャツや下着などを売る、いわば洋品店のような店だったと聞いています。跡を継いだのが、祖父の娘である私の母です。母は薬剤師なのですが、祖父は安井商店をいずれ薬局にするというビジョンを持っていて、そのために母に薬学を学ばせたようです。

そんな歴史の中、池田社長はどのような経緯で会社に加わったのですか?

幼いころからがむしゃらに働く父と母の背中を見て育ってきましたから、それがカッコいいと思っていましたし、いずれは店を助けたいとずっと考えていました。ただ、大学を卒業してすぐにヤスイに入るのではなく、修行のためにと静岡県のドラッグストアチェーンに就職しています。そこでは店長やバイヤーなどを経験し、店舗運営や経営について学ばせていただき、5年後に戻ってきました。ヤスイに入社してからは店長や管理職を経験して、2016年から社長として経営にあたっています。

先代社長の気持ちは、決算の時点で決まっていたんですね。

そのようです。そこから週に一度、先代はマンツーマンで私に経営について伝授する機会を設けてくれました。分厚い資料まで作って、自分の経験を交えて経営のイロハを教えてくれました。その時の資料は今でも取ってありますし、少し前までは迷った時に必ず開く経営バイブルとして重宝していました。

地域貢献を大切にされていますが、地域におけるヤスイの役割をどうお考えですか?

年に3回ほど健康の測定や新しい商品を紹介したりする「ヤスイ健康祭り」というイベントを行っています。常連のお客さまは毎回来てくださいますし、そこで定期的に情報を発信させていただけるので、地域全体の健康管理には貢献できているかなと思っています。私たちとしても、地域のみなさんが健康について何を考え、何を求めているのかを把握することで、それをさまざまなサービスにつなげていける。そんな好循環が作りやすいですね。これからの時代は私たちの果たすべき役割がより大きく、多彩になっていくのではないでしょうか。

2020年

小学校にマスク寄付

常に先を見据える池田社長の元には、どんな社員さんが集まっているのですか。

手前みそに聞こえるかもしれませんが、非常に優秀な社員ばかりなんです。私にはできないことができる、という人ばかりです。社員のおかげで、私はあちこちに首を突っ込まずに常にマネジメントに専念できる、それがヤスイの強みだと思います。それと、誰もが能動的に動いてくれるところも特徴的ですね。普段の接客はもちろんですが、健康コンサルタント的な役回りを求められることもあれば、イベントでのお客さまへの対応もしなくてはならない。でも、あらゆる場面で、マニュアル的ではないコミュニケーションを取りながら、臨機応変に対応してくれます。とても助かりますし、社員を心からリスペクトしていますよ。

社長が経営者として最も大切にしていることはどんなことですか?

掛け算の発想ですね。すでにあるものを掛け合わせて、新しいものを創造・発想するという考え方です。例えば、磁石の力で宙に浮きながら点灯する電球のオブジェ、というものがあるんですが、私、これが大好きで飾ってるんです。磁石は何千年も前からあるし、電球も140年程前に発明された、もはやどこにでもあるもの。でも、それを組み合わせるだけで、こんなにユニークですてきなオブジェになるんです。私たちの事業でいえば、調剤薬局の店頭にネイルサロンを置くなどすでにあるものをうまく掛け合わせることで、より広がりのあるサービスにつながるわけです。ですから、この発想を常に持ち続けることが大事だと思っています。

interview-Part2

調剤薬局、ドラッグストアに留まらず、ネイルサロンやフィットネス事業にも多角化していますね。

ヤスイは地域の「健康と美療のオアシス」であることを目指しています。でもそれは押しつけのサービスや商品を提供することではない。健康や美も人それぞれの価値観があります。お客様がヤスイのサービスをご自身なりの楽しみ方で利用していただけたらと考えています。

ネイルサロンへの参入はどのようなきっかけだったのですか。

先ほど述べたとおり、ヤスイは薬や美容商品を売ることだけを事業とは捉えいません。数年前、ビジネスの種を探しに都内各所をフィールドワークしていた時のことです。おばあちゃんの原宿といわれる巣鴨をまわっていたのですが、シニア専門のネイルサロンを見つけ、お歳を召したお客様の表情がとても美しかったのが印象的でした。指先というは自分の視界が一番入る箇所です。綺麗にネイルデザインされた指は、日常に彩りを生みます。「これだ」と即断。本店の店舗のレイアウトを改造し、お買い物ついでにネイルを受けて頂く事業を数年前から始めました。こうして、ドラッグストアの中に「美のオアシス」が生まれたのです。

フィットネス事業ではどのようなサービスを展開しているのでしょうか。

関連会社とアディダス公認の格闘技ジムを運営しています。ブラジリアン柔術(芸能人が世界大会に出場して話題になった格闘技)やキックボクシングのクラスでは、多くの会員さんが汗を流しています。会員さんには会社員や経営者、医療従事者、主婦、学生…、年齢層も十代~五十代と多彩なバックグラウンドをお持ちの方が在籍されています。うちは、会員さん同士がとても仲が良いんです。学生時代のサークルに戻ったみたいだ、とおっしゃる会員さんもいます。

ここにも「健康のオアシス」があります。仕事や家庭といった日常から離れた、サードプレイスになれたらと願っています。

格闘技というと、痛くて怖いというイメージがあります。「健康と美療」とはどう繋がるのでしょうか。

格闘技の練習は、決められたルールの中での闘いを疑似体験します。パンチ・キックをしたり、掴まれたり、抑え込まれたり、関節を捻られたり。これは非日常な経験で、とてもストレスフルな状態といえます。一方で、この状態に対峙し、克服することで、単に運動をして汗を流すことを超えた、爽快感と達成感を得ることができます。(勿論、怪我の無いよう練習ではインストラクターが細心の注意を払います)。練習中の会員さんの表情はとても活き活きしていますよ。

社長ご自身もジムで汗を流し、試合にも出場しているとお聞きしました。

ブラジリアン柔術のクラスで会員さんと一緒に練習しています。会員さんには大会で出場して入賞する強者もおられ、私も年に数度、腕試しをします。試合は自信の成長を測るバロメーターです。最初は帯の締め方ですらおぼつかなかった会員さんが、足腰を鍛え、技を一つ一つ修得していく。終いには、勇気を振り絞って試合にまで出てしまう。柔術の試合では終了後に相手選手と握手をして格闘を称えあう習慣があります。その瞬間、勝敗に関わらず、なんとも言えないいい表情をみせます。私にとっては会員さんのこの輝きこそがこの上ない喜びです。ここにもヤスイのミッションが生きています。

社員さんの成長でも同じことが言えそうですね。

人が成長する、という点でも同様です。格闘技には、身体の構造やテコの原理がベースにあり、技の理屈を一つ一つ積み上げ修得していきます。また、練習は一人ではできません。正しい指導者や信頼のおける練習パートナーとの濃密なコミュニケーションあってこその上達です。この成長の過程が、ビジネスの人材育成にも通じると感じています。

人材育成のモットーをお聞かせください。

何よりも、私は社員が輝く姿に大きな喜びを感じます。難しい仕事をやり遂げた時、お客様に素敵なサービスを提供した時など、私は本人に直接声をかけるようにしています。そして素直に嬉しさを感情表現します。「頑張ったね。どうやって乗り越えたの。」などの言葉がつい出てしまいます。「褒める」より「嬉しい」を伝えるようにしていますね。琴線に触れた時、人は思いもよらない力を発揮します。理屈での指導だけではなく、感情に訴えるマネジメントも大事だと思っています。

最後にヤスイの社員さんにも伝えたいことをお願いします。

社員には仕事はもちろん、プライベートでも輝いてもらいたいと思っています。自分を大事にできない人がお客様を幸せにできるわけがない。恋人ができたとき、結婚したとき、子供が生まれたとき、家を買ったとき…人生のライフイベントにヤスイがいる。そんな会社であることが、この上ない私の喜びです。そして一緒に「健康と美療のオアシス」を生み続けたいと願っています。